2012年12月25日火曜日

「自ら貸借」は、なぜ規制しないのか

前の記事「宅建業法の舞台に登れない取引」では、「自ら貸借」が宅建業法によって規制されないことの受験対策を、過去問付きで紹介しました。

宅建業法の第1条に書いてある目的が理由になっているんですが、その通りほんとに「購入者等の利益の保護」や「流通の円滑化」が図れるのかしら?
doremi は、ほんとはイマイチ納得できないでいました。

宅建業法は昭和27年(1952年)6月10日に公布 されました。

もう60年も経つのですね。この法律ができた当時はどういう社会だったのでしょうか?
当時は、焼け野原からの経済の再生でみんな大変な時期でしたが、いろいろな産業や商売が台頭する時代でもあったでしょう。
産業や商売が発展するためには宅地建物は欠かせません。

その頃の情報は新聞くらい?
でも詳しい情報を持っている人は各町内には一人くらいいたでしょう。こういう人に頼めば、借りたい物件は短期間で見つかるということで、そのうわさが広まり、不特定多数の人を相手に取引をするようになります。
これを商売にした(業とした)のが宅建業者。

情報のない時代ですから悪いことをしても、わからなければやりたい放題!
戦後まだ間もない時期に、このような商売をする人の中には、悪いことをして大儲けする輩もたくさん出てきたことでしょう。
何せ金額が、ゼロの数が違いますもんね。

そこで免許制にしたり、いろいろ規制を設けて、そういう輩を排除するために"宅建業法"ができたのだろうと想像してみました。
こうすれば、とりあえず、宅建業法の目的の一つ「購入者等の利益の保護」は図れます。

「自ら貸借」の意味をよーく知る!

でもまだ doremi には、宅地及び建物の「流通の円滑化」を図ることを目的にする部分が、ひっかかります。
なぜ、「自ら貸借」が宅建業法によって規制されないでお目こぼしされると「流通の円滑化」が図れるのか。

自ら貸すのは、自由です。
どんな契約をしても宅建業法に違反しません。
建築中の建物でも借主と契約できます。
重要事項説明も不要です。
貸す本人と契約するのですから、借主は納得いくまで質問し、その人を信用して契約することになります。

現代のネット社会は、貸し借りの情報だけで賃貸借契約が即成立、なんてこともあるでしょう。

今はみんなが忙しい時代です。
代理や媒介のように、貸主と借主の間を取り持つ業者が中に入るよりも、即契約のほうがスピードアップにはなるでしょう。
法律ができた当時も小さなアパート・マンションの大家さんに免許制度なんか課したら、"そんな大変なら貸しません"、と小さな部屋など流通しなくなる?かも。
また、賃料自体が大した額ではなかったことも法律で規制しないほうが良い理由になると思いました。家がなくて困っている人に、少しでも早く供給できるはずですからね。

こんなことを考えていた先週の金曜日に、迷物講師が事務所に戻ってきたので雑談してたら、「もっと注意深く「自ら貸借」を見てごらん。」と、言うのでよーく見てみると、確かに「自ら貸す」だけでなく「自ら借りる」もありだ!

小さなアパート・マンションの大家さんが普通の人に貸す契約だけじゃなく、自ら借りる場合、それも業として借りる場合が、確かにある。

「自ら借りる」ケースっていうと、大規模で展開している大臣免許の不動産屋さんか?
A県にA支店、B県にはB支店というようにどんどんお店を増やすためには、事務所が必要ですね。

他のケースも考えてみました。
借りるのは土地ですが、量販店、ヤマダ電機とか、薬のチェーン店などが自ら土地を定期借地権で借りて、店舗を建てて商売することはこれに当たります。
全国規模の会社の社員寮なども、自ら借主として契約してるかもですね。

そうなると、こういう量販店や薬のチェーン店などの会社に免許制度を課したのでは、流通が促進されず「流通の円滑化」の邪魔ですね。

こんなこと考えてたら、スピードアップにつながり流通が促進されることは現在でも重要ということで、doremi はやっと納得できました。
困ったときの"迷物講師"!

他にもいろいろな考え方はあるのでしょうが、自分なりに解決できて気分がすっきりしました。

来春お部屋を探そうと思っている方は、他人任せにしないで十分納得して契約をしましょうね。
こういう時こそ、宅建業法の知識がものを言います。

そう言えば、ネットでは「自ら貸借」のルームシェアリングの情報が豊富にあります。
こういう情報も利用する価値があるかもしれません。
こちらも宅建業法の知識を使って契約前にトラブルを未然に防いでくださいね。

2012年12月20日木曜日

宅建業法の舞台に登れない取引


宅地建物の
  • (売買)(交換)(貸借)を代理して 報酬を得る
  • (売買)(交換)(貸借)を媒介して 報酬を得る
  • (売買)(交換)を自らして      儲ける
この8種類の取引を「業」としてご飯を食べているのが宅建業者です。そして、8種類のどれかをする人(法人を含む)に目を光らせているのが宅建業法です。

よく見てみると、"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼしです。宅建業法の舞台に登らせてくれません。

つまり、自分の物件、会社なら自社物件を貸しても、宅建業法は相手にしませんから、ご自由にどうぞ! ということ。

理由は、自分で貸している小さなアパート・マンションの大家さんは全国津々浦々にあり、微々たる儲けしかないのに、宅建業の免許を取ったり、取引主任者を置いたり、営業保証金を供託させられるなんて、かわいそう!というか、自分で貸している小さなアパート・マンションの大家さんにお目こぼしすれば、アパート・マンションの供給がスムースになる、という政策です。

宅建試験では、この"(貸借)を自らして"も、お目こぼしなのに、あたかも宅建業法で規制されていると思わせる問題を作り、受験者の皆さまを混乱させようと、試験委員は手ぐすね引いて待ってます。

引っかかる人が結構いらっしゃるので、今のうちに対策を立てておきましょう。

その1 免許なんて不要

たとえば、平成24年[問 27] の肢2です。
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Cが自己の所有する宅地を駐車場として整備し、賃貸を業として行う場合、当該賃貸の媒介を、免許を受けているD社に依頼するとしても、Cは免許を受けなければならない。
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Cに免許が必要か?という問題です。
doremi だったら、D社については聞いていないから読み飛ばしちゃえ!です。

キーワードは、
"Cが自己の所有する宅地"
"駐車場として整備し、賃貸を業として行う"
です。

これだけで、Cが自己の宅地を自ら賃貸することが分かります。
ですから、「Cは免許不要」。答はバツ。


同じ問題の肢3です。
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Eが所有するビルを賃借しているFが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Eは免許を受ける必要はないが、Fは免許を受けなければならない。
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キーワードは
"Eが所有するビルを賃借しているF"
"Fが、不特定多数の者に反復継続して転貸する"
です。

E所有のビルをFに貸すという行為="(貸借)を自らして"についてEは「免許不要」。
借りてるFがまた貸しする(自ら貸主になって不特定多数のものに反復継続してまた貸しするも、"(貸借)を自らして"に当たります。
だからFも「免許不要」。
結果E、Fともに「免許不要」で、答はバツ。


その2 事務所にならない


今度は平成7年 [問 44] の肢1です。
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甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため、新たに乙県内に事務所を設けることとなった場合、Aは、国土交通大臣の免許を申請しなければならない。
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この問題、表面的には甲県知事免許のAは、国土交通大臣の免許を申請する必要があるかというものです。

キーワード
"自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため"
"新たに乙県内に事務所を設ける"
です。

甲県知事免許のAはキーワードから、"(貸借)を自らする"ための事務所を、甲県じゃなくて乙県に設置する計画があるんですね。

でも、"(貸借)を自らする"ための事務所なんて、机・電話・パソコン等が完備されていても、そんなの宅建業法上の事務所になんかしてくれませんよ。
なにしろ、"(貸借)を自らして"も、宅建業法の舞台に登らせてくれませんから。

だからこの問題の事務所は、すでに甲県にあるものだけです。新たに乙県内に設けるものは事務所扱いしないので、Aは、国土交通大臣の免許を申請する必要などなく、甲県知事免許のままでいいです。

だから答はバツ。


その3 取引主任者なんて不要


"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼし、宅建業法の舞台に登らせてくれないので、もしどこかに机・電話・パソコン等が完備された"自ら(貸借)専用"の事務所を設置しても、取引主任者なんて全然置かなくてOK!

この点は、まだ過去問がないです。


その4 担保なんて不要

"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼし、宅建業法の舞台に登らせてくれないので、もしどこかに机・電話・パソコン等が完備された"自ら(貸借)専用"の事務所を増設しても、その分の営業保証金(500万円)や弁済業務保証金分担金(30万円)なんて全然不要!

この点も、まだ過去問がないです。


その5 業務上の規制なんて守らないでOK

この点は、平成24年 [問 28] 事例アに出ました。
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ア 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を転貸するための広告をする際は、当該広告に自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を明示しなければ、法第34条に規定する取引態様の明示義務に違反する。
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業者は取引態様の明示義務に違反するかという問題=「宅地建物取引業法」に違反するかという問題ですね。

キーワード
"建物の所有者と賃貸借契約を締結"
"転貸"
です。

これだけで、事例アの業者は、自ら貸借という行為をするのが分かる(=「宅地建物取引業法」に違反しない)ので、法第34条に規定する取引態様の明示義務にも違反しません。

もうお分かりですね?。答はバツ。


その6 監督処分なんかされない


この点は、平成14年 [問 39] 肢2で出ました。

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Aは、自ら貸主となり、借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において、賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが、重要事項の説明を行わなかった場合、これをもって指示処分を受けることはない。
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Aは指示処分を受けるかという問題=「宅地建物取引業法」に違反するかという問題。

キーワード
"自ら貸主"
です。

これだけで、「宅地建物取引業法」に違反しないので、指示処分を受けることもありません。
そのあと書いてあることは無視!しても大丈夫。答はマル。

はい、お疲れ様でした!

迷物講師は「宅建業法は横断的理解が最も重要」と年中言ってます。
今回は、その具体例の一つを記事にしてみました。

"横のつながり"を理解できる。 これって実は doremi が直前期に急に成績が伸びた要因なんです。
まだ12月。今から"横のつながり"を意識できたら、きっと来年は合格ほぼ間違いなしでしょう!


2012年12月14日金曜日

宅建に出る単語 執行猶予

何か悪いことをして裁判所から言い渡される刑には、執行猶予が付いてくることが多いですよね。マスコミでもよく耳にします。

実際のところ doremi は、執行猶予なんてよくわからないまま宅建に合格しました。
当時は試験用語だから「執行猶予期間が満了すれば~~できる。」と覚えちゃえ! くらいで、意味など調べる気さえ起きませんでした。

だって人生でこんな言葉のお世話になることなんて絶対にない! くらいに思ってましたからね。
doremi が宅建業に従事した会社だって、この言葉のお世話になることすらありえない!というところでした。

でもブログ始めてからは、いろいろ気になってきたので、調べてみたくなりました。
免許を取得する場合の要件や罰則等、宅建業法ではちょくちょく出てくる言葉ですね。
執行猶予に関係する他の言葉も調べてみました。

罰金 (刑法第15条) とは

金額は1万円以上。上限はないですが、現在のところ最高は7億円(法人に対して)らしいです。軽い交通違反の際に払わされるのは「反則金」といって、罰金とは違います。 

罰金は、払わさられる人の貧富の程度によって、受ける苦痛に差がありますね。でも最高裁は、刑罰法規による社会秩序維持という「大局からみてやむを得ない」とし、法の下(もと)の平等を定めた憲法14条に違反しない、なんて判決してます。
偉い人は、こういう来るのね!

ということは、消費税増税が裁判になったら、財政による国家経済秩序維持という「大局からみてやむを得ない」と判決するのかしら?

懲役 (刑法第12条) とは

刑の満期(1ヶ月以上20年以下の期間)がある有期懲役と、満期がない無期懲役とがあります。どちらも、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせます。

禁錮 (刑法第13条) とは

期間は懲役と同じだけど、刑事施設に拘置するだけです。何も作業を行わないと暇でしょうがないので、希望して作業を行う人が多いとか。

執行猶予 (刑法第25条) とは

刑の言い渡しは行うが、刑の執行を一定期間猶予し、その期間内に再犯をせずに経過すると、刑の言い渡しの効力を消滅させる制度。3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができます(刑法27条も参照)。

何?、執行猶予期間を無事過ぎれば悪いことをしなかったこと(刑の言い渡しの効力を消滅させる)ことになる?!

だから"執行猶予期間が満了すれば…"のフレーズは、直ちに免許取得ができるわけね。もう前科者じゃないですから

そういえば、平成24年の試験【問 26】にも"執行猶予"が出ましたね。しかも正解肢!

白状すると、doremi は執行猶予期間が満了しても、罪(前科)までは消滅しないと思っていました。え? doremi だけですか、知らなかったのは…。トホホ (>_<)

それにしても、世の中悪い業者はいるんですね。上に書いた刑罰じゃなくて、行政処分された業者なんか、こちらからいくらでも検索できます。重要事項の説明義務違反が多いですね。

国土交通省ネガティブ情報等検索システム<宅地建物取引業者>

就職する時、不動産を売買する時に参考にできるかもです。

2012年12月11日火曜日

なんで宅建業法の問題に総理大臣が出てくるの?

平成24年度[問44]肢4は、こんな問題でした。

「国土交通大臣は、宅地建物取引業者C社(国土交通大臣免許)が宅地建物取引業法第37条に規定する書面の交付をしていなかったことを理由に、C社に対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。」

答は正しい肢です。

お恥ずかしいことに doremi は、宅建の問題で内閣総理大臣が出てくるのは、景品表示法の「内閣総理大臣の措置命令」のところだけと思ってました。
それで迷物講師に教えてもらいました。

  1. 宅建業法は71条の2第1項で、「国土交通大臣は、その免許を受けた宅建業者が、消費者の利益の擁護・増進に反する違反行為をしたことで、指示処分・業務停止処分・免許取消処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない」と定めています(宅建業法71条の2第1項)。


  2. 「消費者の利益の擁護・増進に反する違反行為」はいろいろありますが、その代表は重要事項の説明義務違反、37条書面の交付義務違反です。


  3. この宅建業法の定めは、平成21年9月1日の消費者庁の発足に伴って新設されたものだそうです。


  4. 消費者庁は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営む事ができる社会の実現に向けて、「消費者の利益の擁護・増進」などを一体的に行うために、内閣府の外局として設置されました。


  5. だから、国土交通大臣が行う監督処分については、国土交通大臣と消費者庁が属する内閣府の共同所管とされ、内閣府の長である内閣総理大臣が事前協議を受ける権限を取得したのだそうです。
以上の説明により、本肢は正しい肢になります。

doremi は、平成21年頃に消費者庁が設置されたことは知っていましたが、消費者庁で一番偉いのは消費者庁長官だと思ってました。

違うんだって!
消費者庁長官より偉いのは、消費者庁担当の国務大臣で、消費者庁は内閣府の一部にすぎなくて、内閣府で一番偉いのが内閣総理大臣なんですって!

だから、国土交通省(top:国土交通大臣)とバランスをとるために内閣府(top:内閣総理大臣)が、法律の条文に出てくるのね!

2012年12月5日水曜日

Congratulations! 宅建の合格発表日ですね。

待ちに待った合格発表日ですね。
いかがでしたでしょうか。
"私信ならではの踏み込んだコーチ"に相談下さったみなさまも合格だと、とても嬉しいのですが…。
番号が確認できた方々は、"おめでとう"ございました!

ところで、この祝福の言葉って、受験者のみなさまが経験してきた苦労の数々をねぎらうには短すぎる! とお思いになりませんか?
英語の表現 Congratulations! の方が、doremi は好きです。何と言っても複数形ですからね!?

doremi の時は、分かってくれる人が周りにいなくて、ちょっとさびしかったです。合格者だからわかる "合格までの苦労" のことです。
だから、友人が受かった時は、2人で盛り上がっちゃいましたよ。
もしいなかったら、上にあるリンクからその苦労を書き込んでもOKですよ~。(^^)v

多くのみなさまには、周りに苦労話を聞いてくれる人がいらっしゃると思いますので、存分に盛り上がってください。

さて、番号がなかった方でも、合格者の方々と紙一重の経験をされたのだと思います。
元気が早く戻るよう、目いっぱいリフレッシュしてくださいね。